何歳からが高齢出産? 起こりやすいリスクとその検査方法とは?

キャリアと妊娠・出産を両立させる女性が年々増えてきています。
社会で実績を積んだあととなると、どうしても高齢出産といわれる年齢で妊娠することも多いでしょう。個人差もありますが、高齢出産にはさまざまなリスクが伴います。


では、ママの体とおなかの赤ちゃんには、実際にどのようなリスクがあるのでしょうか。今回は、流産などの原因にもなる妊娠中の合併症や、赤ちゃんの染色体異常について、そして染色体異常を検査する4つの方法について解説します。

 


[目次]

1.何歳からが高齢出産? その割合は?
2.高齢出産のリスク
  ー難産や帝王切開になりやすい
  ー流産率が上がる
  ー子宮のトラブル(子宮筋腫など)
  ー妊娠高血圧症候群
  ー妊婦糖尿病
  ー胎児のリスク(障がいやダウン症候群などの先天性異常)
3.赤ちゃんの染色体異常がわかる4つの検査
  ―ママの血液からわかる2つの検査(母体血清マーカー検査、NIPT)
  ―2つの確定検査(絨毛検査、羊水)
4.高齢出産のメリット

5.まとめ

 


1.何歳からが高齢出産? その割合は?

高齢出産は、日本産婦人科学会では「35歳以上の初産婦」と定義しています。


社会背景の変化とともに、晩婚と晩産が増加しています。出産の高年齢化は1980年代から90年代 にかけて増え始め、母体の出産年齢が高齢化し、2020年には35歳以上での出産が3割近くに増加しました。


わざわざ年齢で区別するのには理由があります。
30歳以上から妊娠・出産に伴うリスクが徐々に高まるからです。母体と胎児へのリスクもありますが、妊娠しにくくなることも挙げられます。


卵子の数は、妊娠適齢期で30〜50万個ですが、32歳くらいからゆるやかに下降し、37歳くらいまでに2万個となり、閉経期の51歳には1000個まで減少します。女性の妊娠のしやすさは、37歳を過ぎると急激に下降していきます。

 

 

 

2.高齢出産のリスク

高齢出産には、次のようなリスクが挙げられています。


・産道がかたくなって難産になりやすい
帝王切開になりやすい
・流産率が高くなる
・子宮のトラブル(子宮筋腫など)が起こりやすい
・出産時、出血も多くなりやすい
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの異常が出やすい
・心疾患やダウン症などの先天異常の赤ちゃんが生まれやすい

 

■難産や帝王切開になりやすい
母体が高齢になると、難産になりやすくなります。加齢によって、産道やその周囲の子宮口がかたくなるためです。産道がかたいと、赤ちゃんがなかなか下りてこられないため、お産に長く時間がかかります。
難産は、ママにも赤ちゃんにも大きな負担がかかります。そのため帝王切開になる確率も高まりますが、体力も落ちてきているため、切開をすると産後の回復が遅くなります。年齢が上がるとともに、産後の子宮や体の回復に時間がかかるといった傾向があります。


■流産率が上がる
流産の増加や、子どもが健康に産まれる率が下がる主な原因は卵子にあります。年齢が高くなるほど卵子が老化し、受精卵の染色体異常が増加するためです。染色体異常になると、ダウン症などの発生率が高まり、流産・早産・死産が増加します。
流産の発症率は、妊娠全体の約15%とされています。原因の多くは、胎児が持つ染色体の問題です。年齢が上がるにつれて、受精卵の染色体に重複や欠損といった数のエラーが生じやすくなるのが、高齢女性の流産率が増加する原因になっています。


■子宮のトラブル(子宮筋腫など)
現代女性は、子宮内膜症子宮筋腫などの病気が増えています。加齢とともに子宮機能が低下し、子宮に腫瘍ができやすくなります。
高齢出産の場合、前期破水や切迫早産、前置胎盤、常置胎盤早期剥離などのトラブルが起きやすくなります。また、分娩時に大量に出血するケースもあります。子宮の収縮が悪く元の状態になかなか戻らないことも、出産年齢が上がるとともに発生頻度が上昇します。

 

妊娠高血圧症候群
一般的に、年齢が上がるとともに、高血圧や糖尿病といった生活習慣病にかかる割合が上がっていきます。そのため高齢出産では、妊娠高血圧症候群や妊婦糖尿病を発症しやすくなるといわれています。
妊娠高血圧症候群は、自覚症状はほとんどありません。しかし、妊娠高血圧症候群は、妊娠中に起こる合併症の中でも発生頻度が高く、母体と胎児の命に危険がおよぶリスクのある重大な症状の一つです。発症すると出産を終えるまで治らないので、体重の急な増加やむくみ、頭痛、息苦しさ、上腹部痛、嘔吐などがないか注意が必要です。


■妊娠糖尿病
妊娠をきっかけに発症する糖代謝異常で、妊娠高血圧症候群とともに、比較的高い割合で起こりやすい合併症です。妊娠中はホルモンの影響により、インスリンへの感受性が低下することがあり、血糖値が上がりやすくなるからです。
高齢出産は、妊娠による体への負荷がより大きくなるため、妊娠糖尿病の発症頻度も増加します。ママの体調が悪くなると、おなかの赤ちゃんの発育や体調にも影響する可能性もあり、流産や難産の原因になることもあります。


■胎児のリスク(障がいやダウン症候群などの先天性異常)
出産年齢が上がると、統計的におなかの赤ちゃんの染色体数に変化が起こる確率が高くなります。通常2本もつ染色体の数が、1本多い、または少ない胎児は、出産までママのおなかのなかで成長を続けられる確率は高くありません。
しかし、21・18・13番染色体に異常があっても、出産に至る例も少なくありません。21番染色体にトリソミー(1本多い)が起こるダウン症候群は、一般的には0.1%(1,000人に1人の割合)で出生に対し、40歳の妊娠では1%(約100人に1人)というデータがあります。

 

 

 

3.赤ちゃんの染色体異常がわかる4つの検査

妊娠中の定期健診で行う「胎児超音波検査」でも、発育や形態異常、病気の有無などを調べることができます。これ以外に、赤ちゃんの染色体異常を調べる4つの検査方法がありますので紹介します。

 

■ママの血液からわかる2つの検査
母体から採血した血液から胎児の染色体異常を調べる検査です。確定診断とは違い、おなかに針を刺さず、胎児の健康にリスクを伴わない検査です。


①母体血清マーカー検査
赤ちゃんの染色体に異常があるかどうか、また神経管閉鎖障害(脳や脊髄など形成異常)があるかどうか、確率を調べます。この検査をもとに、確定検査である絨毛検査または羊水検査を受けるかどうかを決めます。検査値の結果によって、羊水検査を受ける場合は妊娠16週までに検査します。


②新型出生前診断(NIPT)
2013年4月よりスタートした検査で、DNA解析能力の向上により、検査結果が出るまでの時間が早く、より精度が高い検査です。この検査をもとに、確定検査である羊水検査を受けるかどうかを決めます。
検査対象は、年齢に関係なく(以前は35歳以上という年齢制限がありましたが、現在はありません)、10週以降~16週未満の方へ推奨しています。16週以降でも検査は可能です。


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■2つの確定検査
ママの血液からわかる2つの検査である「母体血清マーカー検査」と「新型出生前診断(NIPT)」は、リスクを伴わない安全な検査方法ですが、確定検査ではありません。染色体異常については、次の2つの検査でほぼ確実に診断できます。


①絨毛検査
ママのおなか、または膣から針を刺して子宮壁を通して胎盤の絨毛組織を採取して、胎児の染色体異常やDNAを分析します。検査による流産の確率は、羊水検査よりも高く、1〜2%とされ、出血・破水・子宮内感染を起こすリスクがあります。


②羊水検査
おなかの赤ちゃんの染色体異常(ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーなど)について確定する検査です。妊娠16週前後のママのおなかに針を刺して、羊水を採取して調べます。約300分の1の確率で流産などを起こすリスクがあります。

 

 


4.高齢出産のメリット

ここまで高齢出産のリスクと染色体異常の検査方法についてお話ししてきましたが、年齢を重ねたからこそ得られるメリットもあります。

 

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